First Last Love

俺はデスクに乗っているノートパソコンにチラリと視線を投げる。

 結局、俺は権限があったにも関わらず、月城のことを最終まで残すよう部下に要請できずにきた。あれだけ入って欲しいとあの時切望したのに、なぜなんだろう。

俺を覚えていない事が、あまりに深く心をえぐったという理由だけなら、それは心が狭すぎるというものだ。



ともあれ俺は、一次面接からのエントリーシートのデータを、今日まで覗くことができなかった。

仕事は山積みで、最終面接まで取締役以上は関わらないのが常だ。だから当たり前の業務を粛々(しゅくしゅく)とこなしていると言えばそれまでだけれど……正直、とてもとてもとっても気になってはいた。

「痛いっ!」
「浅見さん、何度そこにぶつかれば気が済むんだよ。いいかげん慣れろよ。自分で入ってくる時閉めたんでしょ?」


ガラス張りの十五平米足らずの副社長室から浅見さんが出ていこうとして、閉まったままのドアに頭から突っ込んだのだ。
ドアもガラスで透明だ。

「だって……。まだオフィスが変わって一ヶ月。誰ですか、こんな変な内装にしたのは!」

「俺提案だけど。だってかっこいいでしょ?」




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