夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「仕事自体は終わった。これから部長に最後の挨拶をしに行くけど、そっちはどう?」
メッセージを送ると、折り返し電話がかかってきた。
「はい。営業一部、本山です」
「業務部葛西です。お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「もう少しかかりそうだから先に行っていてくれ。例の新しい商品、結構大変だ。全くどうして今日なんだよ……兄貴達のせいだ」
「え?葛西君のお兄さん戻ってきたの?」
「期間限定帰国だって言ってた。海外事業部長も一緒に一時帰国している。だからこんなに商品が登録されることになったんだよ」
うちの会社には他社でも有名な海外事業部長がいる。
莉愛が入社する少し前に入れ違いでその人は海外へ出てしまったらしく、会ったことがない。しかし、彼は強引な若いハンターとして有名なのだ。
経営が傾きかけた海外の特色のある小さな菓子会社相手に強気のM&Aをしかけてうちの系列会社を増やしていった。
そこの菓子を日本に合わせてリニューアルして売ると飛ぶように売れた。うちは国内でシェア八位くらいだったのに、そのせいで今は三位になっていた。
そのやり口も辣腕で、特に相手会社の経営陣に小さなほころびがあるとみるやいなやアッと言う間にそこをついて傘下に収めるらしく、経済雑誌にインタビューが載っていたらしい。
契約社員の莉愛でさえ、社内で噂に聞いたことがあった。あだ名は鬼の買収部長。
メッセージを送ると、折り返し電話がかかってきた。
「はい。営業一部、本山です」
「業務部葛西です。お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「もう少しかかりそうだから先に行っていてくれ。例の新しい商品、結構大変だ。全くどうして今日なんだよ……兄貴達のせいだ」
「え?葛西君のお兄さん戻ってきたの?」
「期間限定帰国だって言ってた。海外事業部長も一緒に一時帰国している。だからこんなに商品が登録されることになったんだよ」
うちの会社には他社でも有名な海外事業部長がいる。
莉愛が入社する少し前に入れ違いでその人は海外へ出てしまったらしく、会ったことがない。しかし、彼は強引な若いハンターとして有名なのだ。
経営が傾きかけた海外の特色のある小さな菓子会社相手に強気のM&Aをしかけてうちの系列会社を増やしていった。
そこの菓子を日本に合わせてリニューアルして売ると飛ぶように売れた。うちは国内でシェア八位くらいだったのに、そのせいで今は三位になっていた。
そのやり口も辣腕で、特に相手会社の経営陣に小さなほころびがあるとみるやいなやアッと言う間にそこをついて傘下に収めるらしく、経済雑誌にインタビューが載っていたらしい。
契約社員の莉愛でさえ、社内で噂に聞いたことがあった。あだ名は鬼の買収部長。