夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
　莉愛は隣に座った助けた男性を見た。朝の元気のない様子とは全然違う。

　朝は弱弱しかったのに、今はとても強引だ。相変わらず顔色はいまいち悪いが、確かに少しは良くなったようだ。

　でもお酒を飲むのはまずいだろう。注意しようとしたら、目の前にもう一人が座った。

　莉愛はどうしても言わずにはおれなかった。朝は絶対熱があった。こんなにすぐに良くなるなんてこの人は絶対に薬を飲んだはずだ。

「あの、お酒はだめですよ。今元気なのは解熱剤とか何かお薬を飲んだからじゃないんですか？」

　祐樹は莉愛を見て言った。

「薬は飲んだよ。でも僕はお酒を飲んでない。修二は飲んでるけど、僕はウーロン茶。飲み屋さんってお茶漬けとか具合悪い人用みたいな食事もあるだろう。打ち合わせするならここがいいだろうと思ったんだ。」

「……はあ……」

　にこにこと莉愛を見て嬉しそうに話している。莉愛は何も言い返せなくなった。

「おいおい、説明しろよ、本山。どういうことだよ。どうして祐樹さんと知り合いなんだ？」

　莉愛と祐樹はとりあえず朝の出来事を目の前の二人に説明した。

「なんだ、あの可愛らしい花柄のハンカチは君のだったのか。祐樹の彼女のじゃなかったんだね」

「どこでいつ俺に彼女が出来たんだよ？修二、適当に嘘言うな！」

　修二は笑いながら目の前の卵焼きを食べだした。
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