夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
 海外事業部って言った?え?まさか、あの血も涙もない有名な部長ってこの人だったの?!どうして葛西君は教えてくれないんだろう。

「どうした?」

 莉愛の様子があきらかに変わったのを見て祐樹は聞いた。

「あ、あの……もしかして、有名な海外の部長ってあなただったんですか?」

「有名?それってどういう……」

「血も涙もない、買収しまくりの部長ですよ!」

 祐樹は目を大きく開くと、笑い出した。

「あはは……血も涙もない?それって僕のこと?そうなんだ、そうかそれで最近帰ってきた僕を皆遠巻きにして見てたのか、あはは……おかしい……そりゃいいや……」

 膝を叩いて笑っている。

「何を笑ってるんですか!笑い事じゃありませんよ」

「そう?君にも僕はそんな人間に見える?」

 莉愛はじっと彼を見て言った。

「見えませんよ。だって具合悪くなって弱っているのを見てしまいました。それにさっきからお話している限りでは、気さくに接してくださるからそんな偉い人にも、怖い人にも全然見えなかった。あの、失礼なことを言っていたらすみません」

「何も失礼なんてないよ。それより、君のことだ。潮見さんの頼んだ以外のルートから君の雇用について当たってみるよ」
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