夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「とにかく早く戻りましょう。心配してますよ、葛西君達きっと……」

 席に戻るとふたりはいつの間にかさらに注文をしたらしく、すごい勢いで食べて飲んでいる。

「遅かったな、ふたりとも。何隠れてイチャイチャしてんだよ。尚人が心配してるぞ」

「し、心配なんて……してない」

 尚人が言う。祐樹は席に座って答えた。

「彼女が僕に意地悪をするのでね。時間がかかった」

「は?!何言ってんですか、ちょっと……誰が意地悪よ」

「なに、なに、どうした?連絡先教えてくれなかったのか?祐樹告白した?」

 修二さんが嬉しそうに聞く。二人はびっくりして固まった。

「何が告白だ!お前はどうしてすぐにそういう風に……」

 祐樹は修二を見て、呆れたようにしている。

 隣の尚人は心配そうに莉愛を見た。その莉愛はため息をついた。

「あの……私、申し訳ないですが先にそろそろ失礼します」

「なんだよ、本山。もう帰るのか?」

「そうだよ、本山さん。やっとこれからお話が出来るのに……」

「結構いい時間なんです。私達だいぶ前から食べてましたので……」

 尚人が時計を見るともう22時を大分すぎていた。莉愛は一人っ子なので父が心配症なのだ。
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