夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

「本当だ。わかった、本山今度また連絡する」

「うん。葛西君、長い間お世話になりました。お三人はまだやっていくんですか？祐樹さんは病み上がりだし、まだ顔色悪いようなので早めに帰った方がいいですよ」

「ああ、そうだな。せっかくだから君と一緒に帰る。だって電車が一緒だしな」

「「えええー！」」

　尚人と莉愛がびっくりして声を出した。

「祐樹は確かに帰った方がいい。どうしても仕事の打ち合わせがあるっていうから食事しながらやっていたが、早めに帰って寝ろ」

「ああ、さっき打ち合わせた通りに明日から頼む。会計だけしておいてやる。残り全部食べていいぞ」

「それはどうも……本山さん、祐樹を頼みます」

「あ、はい」

「は？何言ってんだ、修二」

「ほら、病み上がりだからさ。電車でまた気持ち悪くなったりしたら大変だろう？」

　尚人が何か言いだそうとしたのを抑えた修二は、笑顔で莉愛に手を振った。

　莉愛は頭を下げて、彼についていった。修二は隣で急に元気のなくなった弟の肩を抱くと言った。

「尚人、だから好きな相手を見つけたら早くしろって言ったんだよ」

「だって、まさか……」

「祐樹が女の子に自分から行くのなんて見たことない。あんな祐樹初めて見たぞ」

「兄さん、どうしよう……」

「まあ、まあ……恋愛と仕事はやり方が違うからな。祐樹がうまくいくとは限らないぞ」

　修二は弟の頭を撫でた。