夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

再会と約束２

　祐樹は莉愛と電車の座席に隣同士で座っていた。

「君はどこに住んでるの？」

「祐樹さんの一駅先です」

「あのさ、君は僕が乗ってくる駅まで知ってるんだ？見てたのか？」

「どうします、ストーカーだったら？」

「君はストーカーじゃない。さっき目線を反らした。ストーカーは目線を反らさない。正面からも、陰からも、とにかく気持ち悪いくらいにこっちをじいっと見てるんだ」

　莉愛は驚いて彼を見た。

「もしかして、ストーカーの被害者だったんですか？」

「まあ、数回追いかけられてね。あれは待ち伏せされたりもして、本当に最悪だ。海外ではそういうことは全くなかったから安心して生活していた」

「日本に戻ったらまたストーカーが出たんですか？」

「いや、そういうんじゃないんだが、電車や外で人からじろじろ見られることが多くてね。正直メンタルが結構堪える。だから君は僕から目を反らしたからちょっと別な意味でほっとした」

「こいつはストーカーじゃないって？」

　頷く祐樹に莉愛は笑い出した。

「なんで笑うんだ。君はやはり意地悪だな」

「祐樹さんって、目立つんですよ。言われたことありません？もちろんイケメンなんですけど、それだけじゃないです。いつも背筋を伸ばして遠くを見てるでしょ。電車って今は皆ほとんどといっていいほど、下を向いてひたすら携帯見てるじゃないですか」
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