夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「それより、どうして正社員になれたんでしょう?潮見部長も無理だったのに……」

「それはもちろん、偉い人に直談判して僕が頭を下げてお願いしたからだよ」

「え?私の為にですか?」

「ハンカチのお礼も込めて……君の将来性にかけてみたよ」

 目の前でウインクする。冗談なのにノックアウトされそう。

「……祐樹さん……」

「いやそれはさておき、お茶を使った商品での海外展開は僕の希望でもあったからね。そのかわり、何かあったら責任は取れと言われたよ」

「そんなばかな……祐樹さんが辞めたらうちの会社大変でしょ。冗談に決まってます。それに、本当に何か起きたら私が責任をとりますから心配しないでください。それよりも……祐樹さんってやっぱりすごい部長さんなんですね。上の人は祐樹さんが凄い部長さんだからうなずいたの?それとも何かコネがあるんですか?」

「コネね。ま、そうだね。結構立派なコネがある。君の為に、本当は使いたくないのに使ったんだよ。だから英語を頑張って勉強すると約束してくれ。うちの部に来てくれるということでいいね?」

 莉愛は祐樹の顔を見て申し訳なさそうに言った。

「実はここまでうかがっておいて大変申し訳ないのですが、少しお返事を待ってもらってもいいですか?」

「どうして?」

「先ほど……突然事情が変わったんです」

「まさか、他の会社に内定したとか言わないよな?僕に頼んでおきながら就活したんじゃないだろうな?」

「そんなことしてませんよ……実は縁談があると父から言われて……」

「縁談?」
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