夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
お父さんは経営に本当に疎い。だからこういうことになったのだ。
「君が教えてくれた、僕の別名。血も涙もない買収部長だっけ……君、僕にかけてみない?」
「え?」
祐樹さんはにっこり笑った。
「まさか、祐樹さんうちを買収する気なの?」
「買収?そんな金も、権力も、悪いがその気もない。買収じゃないとしても、政略結婚というのは半分ビジネスなんだよ。不利な条件もなく助けてくれるなんて甘い考えは捨てるべきだ。業務提携するならそちらもある程度覚悟が必要だということだよ」
祐樹さんは意地悪だ。でも買収に詳しい祐樹さんから見たら、父は考えが甘いんだろう。
父はお茶の品質のことしか頭にない。そして何が何でもあの畑だけは手放さないだろう。
でもあの価格でこの先手をこまねいていても、お客様は減る一方だ。だからこそ、お茶の二次活用を考えて莉愛は製菓会社に入ったのだ。
ピリリと莉愛の携帯の着信音がなった。見ると莉愛の父からだった。
普段電話をかけてこないのに、何かあったのかもしれないと驚いた。
「出ていいよ」
「はい」
「莉愛、今ちょっとだけいいか?実は急に花邑の御曹司がひとりで訪ねてきた。お前が仕事をやめて家にいると言っていたから、顔を見たいと言って急に来たんだ。今お茶を飲んで待っている。戻れないか?」
「え?」
「やはり、八年前のことが気になっているようでわだかまりを先に解きたいと言っていた。どうやら社長にはそのことを話していないようだ」
「君が教えてくれた、僕の別名。血も涙もない買収部長だっけ……君、僕にかけてみない?」
「え?」
祐樹さんはにっこり笑った。
「まさか、祐樹さんうちを買収する気なの?」
「買収?そんな金も、権力も、悪いがその気もない。買収じゃないとしても、政略結婚というのは半分ビジネスなんだよ。不利な条件もなく助けてくれるなんて甘い考えは捨てるべきだ。業務提携するならそちらもある程度覚悟が必要だということだよ」
祐樹さんは意地悪だ。でも買収に詳しい祐樹さんから見たら、父は考えが甘いんだろう。
父はお茶の品質のことしか頭にない。そして何が何でもあの畑だけは手放さないだろう。
でもあの価格でこの先手をこまねいていても、お客様は減る一方だ。だからこそ、お茶の二次活用を考えて莉愛は製菓会社に入ったのだ。
ピリリと莉愛の携帯の着信音がなった。見ると莉愛の父からだった。
普段電話をかけてこないのに、何かあったのかもしれないと驚いた。
「出ていいよ」
「はい」
「莉愛、今ちょっとだけいいか?実は急に花邑の御曹司がひとりで訪ねてきた。お前が仕事をやめて家にいると言っていたから、顔を見たいと言って急に来たんだ。今お茶を飲んで待っている。戻れないか?」
「え?」
「やはり、八年前のことが気になっているようでわだかまりを先に解きたいと言っていた。どうやら社長にはそのことを話していないようだ」