夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる

「は？えー？！な、な……」

　莉愛は慌ててしまって口をぱくぱくした。

　莉愛は急いで目の前の水をごくんと飲んだ。

　祐樹は相変わらず余裕の笑顔だ。頬杖をついてこちらを見ている。

「ちょうどいい。僕もそろそろ結婚したいと思っていた」

「……え？」

「あちらでは結婚しているほうがいろいろと楽なんだ。色んなパーティーに招待されても、エスコートの出来る人がいないと好きでもない女性をあてがわれてしまう。それがとても嫌なんだ」

「まさか……結婚相手をちょうど探していて……だから私に？」

　莉愛はむくむくとわきあがる怒りが抑えきれなかった。

　彼に感動して舞い上がった直後、床に突き落とされた気分だった。低い声でつぶやいた。

「適当に決めたってこと？」

「適当？適当って違うな。僕は君ならいいと思ったんだ。君はそうじゃない？」

　祐樹はにこやかな笑みで莉愛を見つめた。莉愛は目を剥いた。

「絶対嘘よ。もしかして海外向けにうちのお茶が欲しいだけ？」

「お茶？別に関係ない。不思議なんだが、僕は君がどこの誰かを知る前から妙に気になって仕方がなかった。お茶に関係しているとあとからわかってさらに興味がわいた。出来るなら君と一緒にお茶も(・)欲しいよ」

「お茶もってなに？」