夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「それはそうだろう。君のDNAにはお茶が組み込まれているような気がする。つまり君は生まれた時からお茶とセットだったんだろうな」

「お茶とセット……はあ?」

 莉愛は一体何を話しているんだかわからなくなってきた。

「君はさ、直感って信じる?僕は君と話して直感したんだ。君と僕は相性がいいと思う」

 目をきらりと光らせて話し始めた。この人は本当に訳が分からない。

「僕はビジネスも直感に頼るところがあってね、いつも修二からは怒られるけど、その直感に従って実際に見て調べ、やはり間違いないと思うことが多い。つまり僕の直感は当たる。僕ら、きっとうまくいく」

 うまくいくって何?

 得意げな祐樹に莉愛はため息をついた。

「ふざけないでください!少なくとも直感とかで決めて話すことじゃないです」

「ふざけてない。大まじめだ。君は僕が相手だと嫌?誰かほかに好きな人がいるとか?」

「祐樹さんが嫌なわけじゃないです。好きな人も今はいません」

「それなら、とりあえず花邑との結婚を回避するために僕と結婚したいと話を合わせるんだ。」

「祐樹さん……もしうちを救ってくれる方法が結婚以外であるのなら、私は就職してお茶とセットで千堂製菓へ尽くします。結婚しなくてもいい方法を探しましょうよ」

 目を期待に輝かせて莉愛は祐樹を見た。しかし、祐樹は被りを振った。

「だめだ。花邑の御曹司は君自身に興味がある。よって、経営条件だけじゃ縁談を引くとは思えない。つまり、僕のようなライバルがいてこそ、この縁談はつぶれるんだ」

「そんな……」
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