夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
彼の立候補2
「ただいま」
ぱたぱたとスリッパの音がして莉愛の母が玄関に走ってきた。
「莉愛、おかえ……」
彼女はおかえりなさいというつもりが、そこで固まった。
目が隣の背の高い美しい顔立ちの男性へ釘付けになっている。言葉が途中になって口が半開きだ。
息を吸った彼女はようやく言葉を継いだ。
「初めまして。莉愛さんのお母様ですね。驚いた時のそのお顔が莉愛さんとよく似ていらっしゃる。私は千堂製菓の佐伯と申します。この度は突然お邪魔してすみません」
「あの、もしかして前の会社の方?」
祐樹はにっこり笑って綺麗にお辞儀をして挨拶をした。
祐樹は初対面なのに緊張している様子は皆無だ。完璧な微笑みを浮かべている。
莉愛はあっけにとられた。
もっと固まっているのは隣の母だった。母は真っ赤になって手をぎゅっと握ったまま立ち尽くしている。
莉愛はこんな母を初めて見た。
「ちょっと、お母さん?あ、祐樹さんこちらへどうぞ、狭いところですがおあがりください。大きいだけで、見ての通り古い家なんです」
莉愛はスリッパを母の代わりに祐樹の前に出した。
和風の引き戸の玄関。今でいうところのバリアフリー住宅とは全く違う、段差だらけの家だ。
玄関も段差がかなりある。
ぱたぱたとスリッパの音がして莉愛の母が玄関に走ってきた。
「莉愛、おかえ……」
彼女はおかえりなさいというつもりが、そこで固まった。
目が隣の背の高い美しい顔立ちの男性へ釘付けになっている。言葉が途中になって口が半開きだ。
息を吸った彼女はようやく言葉を継いだ。
「初めまして。莉愛さんのお母様ですね。驚いた時のそのお顔が莉愛さんとよく似ていらっしゃる。私は千堂製菓の佐伯と申します。この度は突然お邪魔してすみません」
「あの、もしかして前の会社の方?」
祐樹はにっこり笑って綺麗にお辞儀をして挨拶をした。
祐樹は初対面なのに緊張している様子は皆無だ。完璧な微笑みを浮かべている。
莉愛はあっけにとられた。
もっと固まっているのは隣の母だった。母は真っ赤になって手をぎゅっと握ったまま立ち尽くしている。
莉愛はこんな母を初めて見た。
「ちょっと、お母さん?あ、祐樹さんこちらへどうぞ、狭いところですがおあがりください。大きいだけで、見ての通り古い家なんです」
莉愛はスリッパを母の代わりに祐樹の前に出した。
和風の引き戸の玄関。今でいうところのバリアフリー住宅とは全く違う、段差だらけの家だ。
玄関も段差がかなりある。