夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「……初めまして。彼女の元勤務先、千堂製菓のものです。先ほど彼女には伝えましたが、今度正社員になってもらうことが決まったのでお知らせするためにお会いしたんですよ」
莉愛の父は花邑の御曹司を隠すようにして、すっと立ち上がった。
「それは、それは……せっかくのお話ですがタイミングが悪かったですね。莉愛はこの縁談が決まればおそらくそちらで働くことはないと思います。大変申し訳ない、お詫びはまた別途させていただきます。今日のところはお引き取り下さい」
「君、今日は縁談の話し合いだ。場違いだ。帰ってくれ」
花邑さんがふんぞり返って言った。
「縁談だということは彼女に聞いてますよ。もちろんわかってついてきたんです。僕もその話に参加させていただきたいからです」
「なんだと?!君は何者だ?僕が誰かわかってそんな口を利いているのか?話にならん」
花邑さんは大きな体をゆすりながら中腰になった。父が驚いたように口を挟んだ。
「あの、失礼ですが……お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「初めまして。ご挨拶が遅れました。私は佐伯祐樹と申します」
祐樹は懐から名刺を出して、花邑と父に配った。花邑は鼻を鳴らしてふたりに向き直った。気持ち悪い。
「……ふん。千堂製菓の海外事業部長?莉愛さん、部外者の彼には帰ってもらおう」
莉愛は被りを振った。
「いいえ、彼は部外者じゃありません」
「は?」
花邑は莉愛の返答に驚いた。
莉愛の父は花邑の御曹司を隠すようにして、すっと立ち上がった。
「それは、それは……せっかくのお話ですがタイミングが悪かったですね。莉愛はこの縁談が決まればおそらくそちらで働くことはないと思います。大変申し訳ない、お詫びはまた別途させていただきます。今日のところはお引き取り下さい」
「君、今日は縁談の話し合いだ。場違いだ。帰ってくれ」
花邑さんがふんぞり返って言った。
「縁談だということは彼女に聞いてますよ。もちろんわかってついてきたんです。僕もその話に参加させていただきたいからです」
「なんだと?!君は何者だ?僕が誰かわかってそんな口を利いているのか?話にならん」
花邑さんは大きな体をゆすりながら中腰になった。父が驚いたように口を挟んだ。
「あの、失礼ですが……お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「初めまして。ご挨拶が遅れました。私は佐伯祐樹と申します」
祐樹は懐から名刺を出して、花邑と父に配った。花邑は鼻を鳴らしてふたりに向き直った。気持ち悪い。
「……ふん。千堂製菓の海外事業部長?莉愛さん、部外者の彼には帰ってもらおう」
莉愛は被りを振った。
「いいえ、彼は部外者じゃありません」
「は?」
花邑は莉愛の返答に驚いた。