夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
　莉愛は直感の話をまさか父にするとは思わず、正直呆れてしまった。

　ドン！ガチャン！

「いい加減にしろ！」

　お茶碗が揺れた。花邑がテーブルを叩いたからだ。

「横から来て何をほざいているんだ。縁談は本山茶舗の権利なども関係しているんだ。莉愛さん、そのことを知っているだろう？彼は関係ない。出ていってもらってくれ！」

　花邑は中腰になって外に指を向けた。

「何をそんなに興奮されているんです？彼女があなたをどういう目で見ているか気づいてますか？落ち着いて話した方がいいと思います」

　莉愛は青くなって震えていた。

　祐樹は隣で震えている莉愛の手を軽くたたいた。莉愛はすがるように祐樹を見た。

　祐樹はうなずいた。そんな二人を見た莉愛の父はため息をついた。

　祐樹は莉愛の父の方に身体を向けて正面から話し出した。

「本山さん。正直なところを聞かせてください。もし、本山茶舗の権利をカタに縁談を断れないようなら、私が別なご提案をしたらお考えを変えることはできますか？」

「……な！なにを言っているんだ、こいつは！本山さん、いい加減にしてくれ、部外者を早く外に出してほしい」

「……それは……」

「プロポーズの話はおいておいて、お父さん……祐樹さんには何かうちの経営についてお考えがあるみたいなの。聞いてもらってもいいですか？」

　それを聞いた祐樹はぴくりと眉を動かした。そして莉愛をにらむと、ひと言おいて言葉を継いだ。
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