夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
 よかった。怒ってない……莉愛はほっとした。

「祐樹さん、本当にごめんなさい。そしてありがとうございました。もし花邑とのことがなくなったら、必ず正社員になります!英語だって頑張りますから……」

「それだけじゃないぞ。僕は君と別の約束もした。忘れてもらったら困る」

 車の窓から顔を出した祐樹は莉愛の腕を引っ張った。

 そして瞬間身を乗り出すようにして莉愛の頬に唇を寄せた。

 莉愛は真っ赤になった。

「ご両親に挨拶までしたんだ。しかも、君の為にかなりの無理をしたから、僕はこれからあちこちから相当叱られるんだ。ご褒美くらいもらってもいいだろう?海外じゃこれが挨拶だ」

「祐樹さん……」

 彼は莉愛に手を振るとハザードランプを数度あいさつ代わりに点滅させて出て行った。

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