夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
三~四週間たったころ、状態を見て大きくなる前に葉を摘採する。
今は機械で刈るところもあるらしいが、うちでは手摘みでしか摘採しない。そうして手で丁寧に新芽を摘んでいくのだ。
機械と違い、やはり手摘みのほうが高級茶にふさわしい味となる。
黙々と作業をすると彼のことを少しだけその間は忘れられる。
作業を終えて上がろうとした頃、ポケットの携帯電話に着信があった。
普段なら見ないのだが、彼かもしれないと気になって、急いで出して確認した。すると千堂製菓の会社からだった。
「本山莉愛さんの携帯でよろしかったでしょうか?千堂製菓の人事部です」
正社員の話はやはり本当だった。早ければ、来週からどうでしょうという話だった。
手続きの為に一度会社へ来てほしいと言われて、午後二時ごろと約束した。急いで準備の為に家へ戻った。
祐樹から連絡が来ていないのにもかかわらず、どこかほっとした莉愛は、急に食欲が戻り、早めの昼ご飯を取っていた。
もしかすると彼に会えるかもしれないと気づいたからだ。
すると今度は葛西からの電話だった。居酒屋でお兄さんと一緒にいた時以来だった。
「本山、縁談なくなったのか?正社員になるって兄貴から聞いて驚いたんだ」
「うん、祐樹さんが花邑茶舗とうちにサエキ商事との取引とかを色々提案してくれたの。そのお陰で縁談はなくなった。ねえ、それより葛西君。どうして教えてくれなかったの?祐樹さんが実は社長の息子だったなんてびっくりさせられた」
「いや、それだけどな……もしかして他にも聞いた?」
「サエキ商事の養子ってこと?」
「ああ、聞いたのか。それなら話は早い。養子になる経緯があってさ、千堂の社長、つまり祐樹さんの父親と喧嘩したんだ。だからその話はしないように兄貴からも言われてる」
今は機械で刈るところもあるらしいが、うちでは手摘みでしか摘採しない。そうして手で丁寧に新芽を摘んでいくのだ。
機械と違い、やはり手摘みのほうが高級茶にふさわしい味となる。
黙々と作業をすると彼のことを少しだけその間は忘れられる。
作業を終えて上がろうとした頃、ポケットの携帯電話に着信があった。
普段なら見ないのだが、彼かもしれないと気になって、急いで出して確認した。すると千堂製菓の会社からだった。
「本山莉愛さんの携帯でよろしかったでしょうか?千堂製菓の人事部です」
正社員の話はやはり本当だった。早ければ、来週からどうでしょうという話だった。
手続きの為に一度会社へ来てほしいと言われて、午後二時ごろと約束した。急いで準備の為に家へ戻った。
祐樹から連絡が来ていないのにもかかわらず、どこかほっとした莉愛は、急に食欲が戻り、早めの昼ご飯を取っていた。
もしかすると彼に会えるかもしれないと気づいたからだ。
すると今度は葛西からの電話だった。居酒屋でお兄さんと一緒にいた時以来だった。
「本山、縁談なくなったのか?正社員になるって兄貴から聞いて驚いたんだ」
「うん、祐樹さんが花邑茶舗とうちにサエキ商事との取引とかを色々提案してくれたの。そのお陰で縁談はなくなった。ねえ、それより葛西君。どうして教えてくれなかったの?祐樹さんが実は社長の息子だったなんてびっくりさせられた」
「いや、それだけどな……もしかして他にも聞いた?」
「サエキ商事の養子ってこと?」
「ああ、聞いたのか。それなら話は早い。養子になる経緯があってさ、千堂の社長、つまり祐樹さんの父親と喧嘩したんだ。だからその話はしないように兄貴からも言われてる」