夢見る契約社員は御曹司の愛にスカウトされる
「ああ、うちの秘書課長。前、営業部だったからもしかして面識ない？契約社員だとそうかな？」

「はい。あの、もしかして……社長のお嬢さんとかですか？」

「知ってたの？そう、社長のお嬢さんだよ。うちの専務と海外事業部の佐伯部長の姉にあたる。三人兄弟なんだ。課長はすでに結婚していて苗字が違うから、最近入った人は気づかない。社内でもそのことをなるべく口外しないように言われてる。君も気をつけてね」

「あ、はい……」

　やっぱり祐樹さんのお姉さんだった。特に目元が似ていると莉愛は思った。

　莉愛は入社の手続きが終わり、言われていた部屋をノックした。

「どうぞ」

「失礼します」

　すると彼女が自分のデスクの前にある椅子を指さした。莉愛はそこに座った。

　彼女は輝くような笑顔をこちらに向けた。祐樹と似ているがやはり特有の美しさがある。また見惚れてしまった。

「急にごめんなさい、どうしても会いたくて待ち伏せしちゃった。私は祐樹の姉で秘書課長をしています。ちなみに夫は人事部長」

　莉愛はびっくりしてガタンと椅子の音を立て、横に立ち上がってお辞儀をした。

「はじめまして。先月まで四年間契約社員で営業していました本山莉愛です。これからどうぞよろしくお願いします」

「そうなんですってね。あなた、私の義妹になるんでしょ？」

「……え？！」

　莉愛は驚いて固まった。
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