溺愛の業火

「今は数人の間での噂も、一気に広がるだろうな。だけど内容は可愛いもんだ。教師の呼び出しとまではいかにしても、注意位はあるかもね。」

注意か。噂に和叶が戸惑うかもしれない。
学校では控えないといけないな。

「はぁ、生徒会長になるんじゃなかった。」

思わず弱音を吐いてしまう。

「それ、先生に言うなよ。今以上の大騒ぎになるからな。」

分かっていることを次々と。

「松沢。お前の彼女は、どこまで許してくれるの?」

黙らせてやろうと、意地悪な質問をしてみる。

「ホント、清水は鬼畜だね。……どこまでって、柔らかい肌に触れた程度だよ。」

余裕なのか、俺に自慢するつもりだったかな。
嬉しさ全開の笑顔で、手が卑猥な動きを見せる。

「相手の承諾はあるんだろうな、それ。犯罪とか、俺は関知しないぞ。」

俺の冷たい視線に、口を尖らせて怒りを露わにする。

「あるに決まってんだろ、誘ったのは向こう……っ。」

慌てて口を塞いだけれど、怒りに我を忘れて、言ってはいけない言葉が滑って出てしまったんだな。

「ばぁ~か。」

そう言いつつ思わず笑ってしまう。

「はは。本当に恋って、人を馬鹿にしてしまうね。くくっ……以後、気を付けるよ。ありがとうな、松沢。」

納得いかないような拗ねた表情で、松沢は俺を睨んで無言。

「ふ。珍しく俺が感謝してるんだから、素直に受け取ってくれよ。」

「ふん。恋愛音痴のくせに。……はぁ~、俺の親切心をいつも無下にするんだからな。」

少し機嫌が直ったのか、苦笑を見せた。

「篠崎の愛情につけこんで、せいぜい嫌われないようにな。」

あ、思い出した。

「甘いキスに溺れたのは、俺だけじゃないと言ったのはお前だろ?」

そう、和叶も望んだんだ。

kiss…………




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