灼熱の炎に蕩けるほどのくちづけを
大陸の半分を占める強国、炎の国メルバジール。炎の力を操る王族によって統治されているこの国は領土の広さもさることながら、その軍事力においても他国とは一線を画していた。
なかでも第一王子のアルベルトは希代の炎使いで、戦場では喜々として敵を屠る戦狂いとも知られている。
炎をまとわせた剣を振るう姿はさながら悪魔のよう。戦場の熱気に揺れる髪は返り血を浴びたかのよう。美しくも冷たい輝きを宿す瞳に見つめられた者は、もう二度と故郷の地を踏むことはないと恐れられている。
アルベルト・フォン・ウィンクラー。「炎の悪魔」の異名を持つこの男の元へ、雪の国レイベルクでひっそりと暮らしていたセシルが嫁いだのはふた月ほど前のことだった。
なかでも第一王子のアルベルトは希代の炎使いで、戦場では喜々として敵を屠る戦狂いとも知られている。
炎をまとわせた剣を振るう姿はさながら悪魔のよう。戦場の熱気に揺れる髪は返り血を浴びたかのよう。美しくも冷たい輝きを宿す瞳に見つめられた者は、もう二度と故郷の地を踏むことはないと恐れられている。
アルベルト・フォン・ウィンクラー。「炎の悪魔」の異名を持つこの男の元へ、雪の国レイベルクでひっそりと暮らしていたセシルが嫁いだのはふた月ほど前のことだった。