もっと、キミと
戻った教室
☆☆☆
夏休みが終わり、新学期が始まった。
私が向かったのは、二年一組の教室。
以前と変わらず、明るく楽しそうな声が聞こえる。
久しぶりの教室は、やっぱりドキドキする。
夏休みが明けたら、保健室登校をするのをやめると決めたのだ。
「本当に大丈夫? 生徒が白鳥さんだけになったからって、気を遣うことはないのよ? 白鳥さんが保健室登校をする前は、佐倉くん一人だったんだし」
「大丈夫ーーかは、分かんないです。もう一度、保健室に戻りたくなるかもしれません。でも」
樹くんが繋いでくれた命と時間をもっと自由に使いたい。
なんて言うのは、なんだか小っ恥ずかしくて言えなかった。
しかし、間宮先生は私の思っていることを見透かすように大きく頷いた。
「分かったわ。貴女には居場所があるんだから、無理をしないこと」
「ありがとうございます」
私はもう、一人じゃない。
間宮先生がいて、母も私のことを分かってくれた。
それにーー。
樹くんからの手紙を入れているポケットに手を添えた。
それだけで、温かさが伝わってくる気がした。
心の中で「よし!」と意気込み、前を向くとドン!という衝撃で思わず一歩前に出てしまい、後ろからは「うわ〜」と聞き覚えのある嫌な声が聞こえた。
その声を聞いただけで、ドクドクが脈が速くなった。