もっと、キミと
「最悪! キモいのが、また学校に来たのかよ!」
一人の男子がそう言うと、他の人もニヤニヤと笑っていた。
私には、味方ができた。
それでも、まだ……敵の方が多いんだ。
やっぱり、保健室に戻った方が……。
カバンの持ち手をぎゅっと握り考えた。
もし、だめだったとしても戻る場所がある。
それならば。
「……なんだけど」
震えた小さい声しか出なかったけれど、口に出た。
「は? なに?」
嫌なことを言ってきた男子がニヤニヤとしながら言ってきたので、今度は服の上からポケットをぎゅっと握って大きく息を吸い込んでジッと見た。
多分、睨んでると思う。
男子はギョッとして一歩退いた。
「め……迷惑なんだけど……! そういうの……!」
私が言ったことにより、教室から聞こえていた賑やかで楽しそうな声が、一瞬でピタリと止まった。
「は? 何だよ、ブスのくせに」
そう、だよね。
私なんかが、言い返せる立場じゃないのに。
もう言葉が出なくなってしまいそうになった時、ふと樹くんとの会話を思い出した。
『信じられないな。こんなに女の子らしくて、可愛い白鳥さんにそんなことを言うなんて。教室の野郎共とは仲良くなれなさそう』
プールで、彼はそう言ってくれた。