もっと、キミと
04

十年後



十年後。


私は今も中学校にいる。


十年前と違うのは、生徒ではないということだ。


「白鳥せんせー。ダルいから寝させてー」


「ウチもー。授業面倒だし、頭痛い気がする〜」


私は、養護教諭として学校に赴任した。


二年目の新米で、ナメられてるのがすごく分かる。


だって、ここが素行不良な生徒達の溜まり場となっているからだ。


「まったく……この時間だけよ? 次の授業はちゃんと出なさい」


「ちぇっ。先生のケチー」


二人の女子生徒は、ベーと舌を出しベッドに付いているカーテンを閉めた。


中から楽しそうに話している。


ヒソヒソと話しているつもりだろうけど、シンとした保健室ではそんな声もしっかりと聞こえる。


(まったく……まぁ、元気なのは良いことだけど。あんまり保健室へ入り浸ることを許したら、担任の先生にドヤされるんだよね)


自分が養護教諭になってからだと、なお分かる。


間宮先生のありがたみ。


私が保健室登校をしていた約3ヶ月。


間宮先生は、私に気付かないように守ってくれていたのだろう。


今度は、私の番。


私が頑張らないといけないんだ。



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