もっと、キミと
「や……わ、私っ……重いからっ!」
「大人しく来ないからだよ。それに、全然重くない。むしろ、めっちゃ軽いよ? 普段ちゃんとご飯食べてる?」
すらりとしたスリムな体型にも関わらず、私を持ち上げる筋力に驚き固まっていると、屋上のドア近くでようやく降ろしてもらえた。
「まったく、何考えてんの。落ちたら死んじゃうよ?」
そう言うと、額を軽く小突かれて「わっ」と声を漏らしておでこを抑えた。
まさか、死んでリセットするつもりでいたなんて、思いもしなかっただろう。
私、この人にまで迷惑をかけてしまったんだーー。
そう思うと、胸がきゅっと締め付けられた。
「……さっきから黙ってるけど。まさか、本気で死ぬつもりだったの? キミ、屋上なんて来たことなかったし。まさか、ね?」
一方的に話し続ける彼が、怪訝な表情をして顔を覗き込んでくる。
口が上手くない私に、逃げる方法なんてなかった。
「私なんて、いてもいなくても変わらないから」
と、ぶっきらぼうに答えて笑みを浮かべた。
きっと、上手く笑えていなくて顔が引き攣っていただろう。
下手くそな笑みでも、もしかしたら彼が釣られて笑っているかもしれない。
そう思ったが、彼の顔はとても悲しそうだった。