もっと、キミと
「……どうしてそんな悲しいことが言えるの」
まるで、自分のことのように辛そうな表情をする彼。
親でも、友達でも、そんな顔をしてくれる人は誰一人としていなかった。
「事実だから、かな。むしろ、私がいることで迷惑かけてるから。それなら、私なんてーー」
「人に迷惑をかけるなら、自分の命を粗末にして良いって言いたいの? そんなわけないでしょ」
「それは……」
彼の言葉は、思った以上に心をえぐるものだった。
「必要ないって思うなら、キミが手放そうとした時間を僕にちょうだい。僕、来年にはこの世にいないからさ」
言葉が詰まる私に彼が提案したものは、目を丸くするものだった。
同時に、心が救われ絶望を感じるものになるなんてこの時の私は、一ミリも感じていなかった。
今日、私は運命の人と出会ったのだ。