もっと、キミと
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午前6時半。
ジリジリジリジリと鳴り響く目覚まし時計で目が覚めた。
眠気よりも、一日が始まったことに「はぁ……」とため息が漏れた。
同時に、隣の部屋からゴンッと何かを壁に当てた鈍い音が聞こえてビクリと肩を跳ね上げた。
隣の部屋は、大学受験を控えている兄のもの。
兄は、いわゆる難関大学と呼ばれる学校の受験を控えている。
そのため、毎日強いストレスと闘っているのだ。
気をつけて生活をしていても、朝が苦手な私はアラームで起こしてしまう。
しかも、今日は久しぶりの登校。
昨日までゴールデンウィークだったから、早くも五月病が発症しそうだ。
ゆっくりとベッドから出ると、なるべく物音を立てないように制服へ着替えた。
大嫌いなこの制服に、あと何回袖を通さなければならないのだろう。
中学二年生になって、新しいクラスになったばかり。
まだまだ学校には通わなければいけない。
鬱な気持ちでゆっくりと階段を降りてリビングへ向かった。
リビングのドアを開けると、味噌の香りと魚の焼ける香ばしい匂いに思わず口元が緩んだ。
朝で唯一、晴れやかな気持ちになれる瞬間。