もっと、キミと
「ダメ」
「「え?」」
彼の発言に、私と間宮先生の声がハモった。
思わず、お互いに顔を見合わせてしまった。
「……佐倉くん、何言ってるの。授業をサボってる生徒を放っておけるわけないでしょ。中学校は、義務教育なんだから」
「先生、本当にそんなこと言える? もっとよく見てあげてよ」
彼がそう言うと、間宮先生が私の顔をまじまじと見つめる。
うっ……男子が夢中になる気持ち、なんか分かっちゃうかも。
同性の私でも、美人で大人に先生に見つめられたらちょっとドキドキしちゃうもん……。
「……たしかに、ちょっと顔色が悪いわね。あなた……ええと」
保健室なんて、滅多に利用しない。
だから、先生に名前を覚えられないのも当然のことだ。
「二年一組の白鳥です」
「白鳥さん、保健室に行きましょう。佐倉くんもよ。まったく、一度屋上へ行けるようになったら毎日サボるようになって……」
どうやら、佐倉くんという人はサボり癖があるらしい。
間宮先生は、相当困ってるようで大きなため息を吐いていた。
「ま、良いじゃん。大目に見てよ」
「だいぶ甘やかしてるわよ? 何しに学校に来てるのよ」
へらへらと笑う佐倉くんに、呆れて言う先生。
二人の関係に疑問を持ちながらも、私達は保健室に向かった。