もっと、キミと
「し、失礼します……」
保健室に入ると、病院のような薬の匂いがつんとした。
保健室に入ったことはほとんどなく、病院にも通い慣れていない私はこの匂いに「うっ」と顔を歪めた。
「今、私達しかいないからそんなに緊張しなくて大丈夫よ。白鳥さん、冷たい飲み物は麦茶かコーヒーしかないんだけど、どっちが良い?」
保健室の奥の何かに布をかぶせてあり、それを取ると冷蔵庫が現れた。
冷蔵庫を開け、私に尋ねるがまさかの質問に咄嗟に首を横に振った。
「あっ、いえ……私は」
「遠慮しなくて良いのよ。それじゃあ……麦茶を入れるわね」
冷蔵庫から取り出した麦茶をコップに注ぎ「どうぞ」とテーブルに置いてくれた。
置いてくれた側のソファーに腰掛け、「いただきます」と伝えて早速一口含んだ。
ひんやりと冷たい麦茶は、暑くなってきた最近の気温にベストで、体が欲しており一口飲むと、ぐいっと飲むペースが早くなった。
「そうそう。子どもは、遠慮なんてしなくて良いんだから」
間宮先生が、にこにこと笑顔を浮かべて何度か頷いた。
いつもなら、遠慮して飲まないという選択を選ぶが、自然と飲み干していた。