もっと、キミと
「白鳥さん。学校、楽しい?」
「……え」
突然の質問に、言葉が詰まった。
正直、楽しくない。
楽しいわけがない。
でも、それを全然話した事のない先生に言ってどうなるというのだろうか。
……先生って、すごく大変な仕事のはず。
保健室の先生は、具合の悪い子を良くするために学校にいる。
それなのに、私なんかに時間を割いてもらうのは申し訳ない。
「……楽しい、かは分かんないです。でも、特に何かあるってわけじゃあ……」
「それじゃあ、どうして屋上にいたの? 普段、屋上が立ち入り禁止なこと、知らないわけじゃないよね?」
そう、普段は立ち入り禁止だ。
屋上には、柵がなく誤って転落した生徒が何人かいるという噂は聞いた事がある。
だから、入学してすぐや事あるごとに屋上には近付くなということは耳にタコができるほど聞いた。
「それは……」
死んでリセットしたかったからなんて、口が裂けても言えない。
視線を外し、空になったグラスをじっと見た。
先の言葉をどう伝えようと頭の中で必死に考えていると、先生が口を開いた。
「自殺しようとしてた」
やはり、先生には見抜かれたようだ。
ハッとして顔を上げると、先生は額を抑えていた。