もっと、キミと
「やっぱり……ダメね。そもそも、屋上には鍵をかけるべきなのよ。それなのに……はぁ」
「え……普段、屋上って鍵かかってないんですか?」
勝手にかかっていると思っていたから、新事実にぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「十年以上前に、この中学で転落死があったの。その後すぐには鍵はかかったんだけど……私が赴任した時には、壊れてて意味をなしてなかったわ」
「十年前のことを……どうして先生が?」
「私、ここの卒業生なの。十年以上前に屋上から転落したのは、私の親友」
次々に知る事実に、目を丸くした。
衝撃的なことなのに、先生は顔色ひとつ変えず淡々としていた。
「転落……っていうと、誤って落ちたようだけど、自殺したんだよね。一番仲が良いつもりだったけど、彼女が苦しんでたことに……全然気付けなかった」
だんだんと涙声に変わる先生に、胸がきゅっと締め付けられた。
目頭が熱くなり、斜め上の天井を見て目元を手で仰いだ。
「もう一度聞くわねーー学校は楽しい?」
親にも友達にも本当のことなんて言えた事がない。
それなのに、考えるよりも先に口が動いた。