もっと、キミと
お忍び学校デート
☆☆☆
私達は、保健室を抜け出して佐倉くんの後ろを歩いて屋上に向かっていた。
「間宮先生、ブチギレてたな」
ついさっきまで目の当たりにしていた光景を、まるで噂で聞いたかのようにヘラヘラと笑いながら言う佐倉くん。
そんな彼の言葉が簡単に右から左へ流れるほど自分の行動に後悔していた。
階段の二段上にいる彼を前に、足を止めた。
「私、やっぱり戻らないと……間宮先生にも、佐倉くんにも迷惑かけてるから」
楽しそうにしている彼とは逆に、自分の行動で誰かに迷惑をかけているという罪悪感を耐えることはできなかった。
「ダメ」
しかし、彼がそれを許してくれなかった。
ニコニコとしていた表情はなくなり、少しムッとした表情でそう言った。
「……え?」
どうして? 迷惑をかけているのに?
分からず小首を傾げると、またニコッと笑った。
「白鳥さんの時間は貰うって言ったじゃん。白鳥さんにはこれからしてもらいたいことがあるから、ダメ」
「私に……?」
「うん。名付けて、学校お忍びデート」
「……へ?」
一体何をするつもりなんだろう。
学校お忍び? しかも、デート……。
えっ、デート!?
どういうこと!?
頭の中はプチパニックだ。