もっと、キミと


「私、二年一組の教室が大っ嫌い! ウザイ、キモい、呪い、ブス……毎日、そんなこと言われてるの!」


「えっ……」


毎日、普通を装って学校に通っていたから、予想外なことに母は目を丸くした。


そして、担任の方を睨みつけるように見た。


「先生……どういうことですか?」


初めて知ることに、担任に説明を求めた。


しかし、担任にも説明することはできない。


クラスのみんな、大人の前で取り繕うのは平然とやる。


担任の前でいい子のフリをして、いじめがあるなんて知らなかっただろう。


「そ、そりゃあ……喧嘩して、人間性も成長しますから」


ほら、やっぱり。


担任の目、すごい泳いでる。


「私が、嫌なこと言われるようになったの……名前が原因だよ」


「……え?」


「白鳥 美華って名前が、見た目と釣り合ってないって。ねぇ、お母さん……なんでこんな名前にしたの? お母さん、私に散々迷惑かけるなって言うよね? でも、私の人生に迷惑はかけて良いの……?」


胸の中でずっと抱いていたことを打ち明けると、会議室の中がシーンとした。


口数の多いお母さんが黙るなんて……。


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