もっと、キミと
名前の由来
☆☆☆
その後、話し合いが進展することはなかった。
一度、家庭でよく話し合ってからだと言われたが帰る気にならない。
放課後になり、帰り支度をしている佐倉くんの隣でぼそりと口を開いた。
「家……帰りたくないな」
すると、帰り支度をしていた彼の手が止まった。
「それじゃあ、今日は僕と二人で一夜を過ごそうか」
「……え」
また、いつものようにヘラヘラと冗談を言っていると思い彼の方を見ると、真面目な顔をして私を見ていた。
真剣な表情でそんなことを言われると、一瞬固まったがすぐに顔がボッと熱くなった。
いかがわしいことを考えてしまった。
「白鳥さんには、家に帰る、学校へ行く以外に僕と一緒にいるという選択肢ができたんだ。わざわざやりたくないことを選ぶ必要なんてない」
私の居場所は、なかった。
家では、兄優先で私の自由なんてなかった。
学校では、私を排除しようとする嫌がらせを散々受けてきた。
初めて出来た選択肢に甘んじてもーー。
そう思った時、ふわっと何かが頭に当たり反射的に頭を押さえた。
なんだろうと上の方を見ていたら、正面からパシッ!と勢い良い音が聞こえた。