もっと、キミと
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午前七時四十五分。
本来なら、家から歩いて十分の距離にある学校であるが、早く着かないようにゆっくりと時間をかけてきた。
下駄箱で靴を履き替え、二階にある教室へ向かった。
まだ、男子に遭遇していない。
しかし、心臓はバクバクいってる。
階段を登り切ってすぐ、二年一組の教室がある。
私のクラスだ。
「おはよー、美華ちゃん」
教室に入ると、入り口近くのクラスメイトに声をかけられた。
彼女は、誰とでも話す気さくな子。
私にも手を振ってニコニコと笑顔で挨拶をしてくれる。
その言葉に、ほっと安心した。
良かった、今日は何もないんだ。
そう思い、手を振ろうとした瞬間だった。
ドン、と誰かに当たったのだ。
「あっ……ご、ごめんなさい」
振り返って目を合わせるよりも先に謝った。
そして、後ろを振り返ると明らかに嫌そうな顔をしている男子が立っていた。
「うっわ、朝から最悪。ブスのバイキンが移ったんだけど」
私を汚物を見るような目で見て、一緒に登校していた友人に「ブスの呪いが移ったー!」とヘラヘラと笑っていた。
私とぶつかった箇所を手で払い、その手を他の男子に当てようとする。
その男子も「やめろよ!キモいだろ!」と私の顔をチラチラと見てニヤニヤと笑っていた。
あぁ、最悪だ。