もっと、キミと



「いでっ」


どうやら間宮先生に出席簿で軽く叩かれた。


私の頭は撫でるような感じだったけど、佐倉くんの頭はしっかり叩かれていた。


「まったく、何を言い出すかと思えば。そういうセリフを簡単に言うんじゃない。どこで覚えたのかしら……白鳥さんも、引っかかっちゃダメよ? そんなこと言う男にロクなのいないから」


女の先輩としての言葉は、重みがあった。


佐倉くんの提案に乗ろうとしていたなんて、口が裂けても言えないことだった。


「あ、あはは……ですよね」


こういう時は、テキトーに笑って誤魔化しておくのが得策。


「でも、逃げ場はある。そこだけは、佐倉くんと同じ意見よ。親御さんに反対されても、先生が絶対に守るから」


「間宮先生……」


「だけど、一度家族で話して自分の意見をしっかり伝えるのも大事」


グサリ、と胸をえぐるような言葉。


私が話したことによって、何か変わるのだろうか。


むしろ、私の言葉は誰かに届くのだろうか。


不安でいっぱいになったが、この気持ちを間宮先生にさえ正直には言えなかった。


だけど、こればかりは自分が頑張るしかない。


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