もっと、キミと


「お母さん……?」


「……ごめんね。お母さん、教室へ戻ってくれるとばかり……。正直、まだ受け入れ難くて。でも、若い女の先生や……男の子が、美華のことを大切に想ってくれてるのは、伝わったわ」


私の意思を尊重してくれる姿勢を嬉しく思った。


「うん……間宮先生とた……佐倉くんは、とても寄り添ってくれるの」


思わず、樹くんと言いそうになった。


もし、男の子を名前で呼んで親密になってると思われたら、学校はそういうことをしに行く場所じゃないって怒られちゃうかもしれない。


慌てて言い直したが、母は気付いていないようだ。


「美華を守ろうと思ってくれるってことは、それだけあなたに魅力があるのよ」


「えぇっ? そう、なの……?」


「そうよ。あなたは、やっぱり名前にこめた願い通り、人生を歩んでるわ」


そう言うと、なぜかお母さんは誇らしげにしていた。


兄だけでなく、私のこともそんな風に思ってくれていたなんて。


これまでに抱いていたマイナスな気持ちがすっと軽くなった。


「でも、どんな人生を歩もうと美華の人生だから。今は難しくても、必ず美華を応援するから」


そう言ってくれると、胸に熱いものが込み上げて来て、涙が溢れそうになった。


何度も泣くのは、なんとなく恥ずかしくてあんみつを一気にかきこんだ。


「担任の先生へは、お母さんが連絡しておくから。美華、明日からも保健室へ行きなさい」


少しでも私に寄り添ってくれる言葉を伝えてくれ、私の居場所は家にもあるんだと実感できた。


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