もっと、キミと
「お、おはようございます……こちらこそ、よろしくお願いします」
ドキドキしていたけれど、間宮先生も佐倉くんもいつもと変わらない様子だった。
「あ、そうだ。美華ちゃん、一時間目は自習になったんだ。でも、二時間目の数学は宿題があったから、答え教えてあげる。ほら、早く教室に行こう」
ちょっとだけぎこちなかった空気を察してくれたようで、樹くんがナチュラルに私の手をきゅっと優しく握った。
思わず「んえ!?」と女の子らしさのかけらもない声が出てしまい、彼に導かれるがまま教室に入った。
彼の手は大きく、角ばっている。
男の子であることを、不思議と再認識させられた。
教室に入るとぐいぐい引っ張っていた手を離し、私の方に向いた。
「……間宮先生ばっか、ズルい」
「え……?」
「美華ちゃんが、保健室登校できるようになったのは分かった。嬉しいよ? でも、僕にも言って」
ぷくっと頬を膨らませ、拗ねている顔はまるで幼子のようだ。
「ふふっ」
「なんで笑うの」
「ごめんね。えっと……た、樹くん。私、保健室登校できるようになったの。これからもよろしく……ね?」
改めて言うと、恥ずかしさもあり、小首を傾げてしまった。