もっと、キミと
病室
☆☆☆
間宮先生の車で、学校から十五分ほど離れた西山総合病院に到着した。
カツカツと早歩きをする先生の後ろを必死でついて行った。
昨日までの樹くんに、変わった様子なんてなかった。
だから、つい忘れそうになってしまうけれど彼の余命はおそらく一年。
初めて話した日に、【来年にはいない】と言っていた。
教室に現れなくなっただけで、彼のいない絶望的な未来を想像するのは容易かった。
エレベーターに乗り、五階のボタンを押して到着すると廊下には誰もおらず、シンとしていた。
五〇三号室のプレートの下にマジックで【佐倉 樹 様】と書かれた部屋の前に到着すると、コンコンコンと早いノックをする先生。
中から「どうぞ」と言う声で少し安心した。
ドアが開くと、声の主である樹くんがベッドの上で下半身を布団の中に入れた状態で座っていた。
屋上で出会った時と全く同じ体勢。
しかし、彼の体にはチューブが繋がれていた。
「間宮先生ーー美華ちゃんも来てくれたんだ」
見た目は変わっても、私に向けてくれる声や笑顔は何一つ変わらなかった。
「親御さんから連絡があったの。佐倉くんが「先生」
間宮先生が何かを言いかけた時、樹くんが言葉を遮った。