もっと、キミと
職員室へ到着し、日誌を手渡すとあっさり終わってしまった。
やはり、二人には来てもらわなくて良かった。
これだけのことでついてきてもらっていたら、申し訳なさすぎた。
そんなことを考えながら教室へ戻る前に、トイレに向かった。
実は、一人で来たかったのもトイレに行きたかったからというのもある。
教室に入る前に近くのトイレに入り、個室に入ると聞き覚えのある声がだんだん近付いてきた。
「男子ほんとうざいよねー」
「それ。美華がマジで可哀想すぎる」
穂花ちゃんと胡桃ちゃんの声だ。
朝のことを言ってるのだろう。
今も心配してくれる声に、友人のありがたみを再認識した。
「でもさ、美華も美華だよ。嫌なことは嫌ってはっきり言わないから、男子がつけあがるんでしょ」
……え?
胡桃ちゃんの声が、グサリと胸を突き刺した。
バクバクと脈拍が速くなり、きゅっと胸が締め付けられた。
「そうだよねぇ……悪い子じゃないんだけど……あのさ、ぶっちゃけても良い?」
控え目ではあるが、何か言いたそうな穂花ちゃんの声にごくりと生唾を飲み込んで息を潜ませた。