もっと、キミと


そして、二つ目の嘘は余命のこと。


余命一年っていうのは、本当のことなんだ。


でも、一年と宣告されたのは僕が一年生の時。


つまり、美華ちゃんと屋上で会った時には既に、いつ死んでもおかしくなかったんだ。


誰も悲しませたくないと思っていたのに、美華ちゃんと話せるようになったら嬉しくて、もっと、キミと話したい、一緒にいたい、生きたいと思えた。


自分勝手だけど、どうか許してほしい。


長くなってしまったけれど、最後に美華ちゃんにお願いがあるんだ。


美華ちゃん、どうか生きて欲しい。


もう、僕がキミの時間を貰う事なんてできないけれど、生きるという最大の自由があるキミには、色んな選択肢があるんだから。


頑張り屋さんな美華ちゃんは、きっと辛いことや大変な事にまっすぐ真面目に取り組むだろう。


でも、そんな必要ないから。


絶対、どこかに美華ちゃんの逃げる場所も、安心して過ごせる場所もある。


そして、キミがもうやることがなくなって幸せだなと思ったら、今度はこっちでたくさんの長い時間を一緒に過ごそう。


それまで、ずっとキミを待ってるから。


まだまだ、話し足りないよ。


一緒に笑い合えてないよ。


楽しいこと、できてない。


もっと、キミと一緒にいたい。


そんなことも叶えられなくてごめんなさい。


さようなら。


佐倉 樹

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