不器用さんと恋に落ちる。

怖そうな黒髪のヤンキー

まだ見慣れない部屋の中で目を覚ます。

薄い灰色のカーテンを開け、紺色のセーラー服を規則通りに着て、赤いリボンを結ぶ。

私が住んでいるのは、浅緋寮。今日から通う灰椿高校の生徒が住む学生寮だ。

灰椿高校は巷で有名なヤンキー高校で、共学なのに女子は私だけらしい。

寮も男女共同とは名ばかりで、女子は私1人だけだ。

本当は違う学校に入りたかったけど、入試当日に目覚まし時計が壊れて大寝坊してしまい、受験できなかった。

他の学校を探したら、唯一灰椿高校だけがまだ願書を受け付けていた。

ただ、家から通うと電車とバスを乗り継いで3時間の場所にあり、その距離を毎日通学するのは厳しいため、浅緋寮に入寮することとなった。



「…不安だなぁ…」



そんな独り言を言いながら、部屋をあとにした。

< 1 / 53 >

この作品をシェア

pagetop