不器用さんと恋に落ちる。
そんなことを思いながら荷物置き場に目をやると、段ボールが届いている。



「…あ、荷物届いてるかも」



独り言みたいに呟きながら靴を脱ぎ、奥にある荷物置き場へ向かう。

段ボールに貼られた伝票を確認すると予想通り私の荷物だった。

持ち上げようとするけど、重くて全然持ち上がらない。



「…わっ」



黒月くんが、さっき持ち上がらなかったのが嘘みたいにひょいと持ち上げる。



「俺が持ってくから、無理すんな」



びっくりした…急に奪われたから何かと…。

今日は、黒月くんにたくさん助けてもらってるな。優しい人なのかも…。

階段を上がる男らしい後ろ姿を見つめた。
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