不器用さんと恋に落ちる。
洗濯機が空くのを待つ間、洗面所のすぐ近くにある1階の食堂で過ごすことにした。

しーんとした食堂で1人、ウォーターサーバーで注いだお湯を飲みながら一息つく。

スマホをいじって時間をつぶす。



「暇だなぁ…」



しばらくして、ぽつりと独り言を言う。

ちょうどそのとき、頭上から聞き慣れた声が降ってきた。



「寒くねーの?」

「んー…ちょっとだけ」

「これ着とけ」



着ていた黒いパーカーを貸してくれる。優しい柔軟剤の香りがする。

サイズぶかぶか…黒月くんって体大きいんだなあ。

そんなことを考えながら洗面所の方に目をやると、洗濯を終えた人が1人出てきたところだった。



「私、洗濯してくるね」
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