不器用さんと恋に落ちる。



「あぁ、ありがとう。それにしても、あの灰椿高校に入ったって聞いて心配してたんだよ。どうせまともな奴なんて1人もいないんだろう?今隣にいる彼もチャラついてて怖そうだし…もしかして脅されてるのか?君ははっきり物申せるタイプじゃないから利用されてるんじゃないか?」

「……………先生に、何が分かるんですか」



先生を鋭いまなざしで見上げる。



「え?」

「黒月くんは、私をたくさん助けてくれて、いつも気遣ってくれる優しい人です。…偏見だけで判断して悪口を言う先生なんかより、ずっとずっと素敵な人です…!……っ…」



言い終えると同時に大粒の涙が零れる。



「…行くぞ」
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