不器用さんと恋に落ちる。
黒月くんが私の腕を掴んで歩き出す。



「…っ……ひっ……っ……うっ…」



早く泣き止まなきゃと思い、手で涙を拭うけど、どんどん溢れてくる。

先生が結婚していたこと以上に、黒月くんのことを悪く言われたことがすごくショックで悲しかった。悔しかった。

確かにヤンキーだし、一見怖く見えるかもしれない。

でも、私が今まで出会った誰よりも優しくて温かい人だ。

そんな黒月くんをけなされたことがどうしても許せなかった。

自動ドアが開いて、風が通り抜ける。

外に出て数歩歩いたところで黒月くんが私を引き寄せ、抱きしめた。

黒月くんの優しい香りに包まれる。



「…悪い、俺のせいで」

「ちがっ……悪くな…っ…」

「庇ってくれてありがとな」



黒月くんの切ない声が耳元で響いた。
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