不器用さんと恋に落ちる。

恋人の黒月くん

1学期が終わり、夏休みになった。今日は三者面談の日だ。

お母さんと教室の前の廊下に置かれた椅子に座って順番を待つ。



「小波」



私の前の番の黒月くんが教室から出てきた。



「黒月くん」



お母さんの顔を見ると、なんだか怪訝そうな顔をしている。



「小波さん、どうぞ」



教室の中から、先生の呼ぶ声が聞こえた。



「じ、じゃあ、また後で」



気まずい空気をかき消すように、そう言い残して教室に入った。
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