不器用さんと恋に落ちる。

灰椿高校のトップ

夏休みが終わり、秋になった。通学路を歩くと、金木犀の香りがする。

最近は校内で殴り合いの喧嘩が頻発している。

年の終わり、つまり年末にトップが決まるのが恒例だからだ。

トップは絶大な人気と権力を得る。

だから、ここに通うヤンキーたちは皆、トップを狙っている。



「え…誰もいない」



教室に入ると、誰もおらず、がらんとしていた。

そういえば、教室に来る途中も誰もいなかった気がする。

ふと、黒月くんの机の上を見ると、くしゃくしゃの紙が置かれている。



「手紙…?……っ」
< 40 / 53 >

この作品をシェア

pagetop