不器用さんと恋に落ちる。
上履きを脱ぎ、ボロボロの下駄箱にしまう。真新しいローファーを履いて、校門まで歩く。

校門の周りには、怖そうなヤンキーたちがしゃがんで居座っている。

絡まれませんように……。そう願いながら目を合わせないように俯いて歩く。

鞄を握りしめて顔を隠すようにしてヤンキーたちの前を通り過ぎる。



「わっ…!」



足を引っかけられて躓きそうになったものの、後ろから誰かに支えられて転ばずに済んだ。

振り向くと黒月くんが片手で私を支えている。



「だせえことしてんじゃねえよ」

「チッ、行こうぜ」



黒月くんが見下ろして睨みつけると、イライラした様子で全員どこかへ去っていった。



「大丈夫か?」

「あ、ありがとう…あ、えっと…私、急いでるから!」


逃げるようにその場をあとにした。
< 8 / 53 >

この作品をシェア

pagetop