スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
 月曜日、包帯を巻いて出社した瑠花は芽依から質問責めにあった。

「ほぉぉ。助けてもらって、それで?」
「そ、それだけ……」
「そのあと朝チュンまでがお約束でしょう? もっと積極的に!」
 休憩室のテーブルをバンバン叩きながら怒る芽依の声が大きすぎて、瑠花は周りの目が気になってしまった。

「次のデートの約束は?」
「してないけど」
「何やってんのよ、もうっ」
 全然ダメじゃないと頭を抱える芽依から話題を変えようと、瑠花は芽依の成果を聞くことにした。

「芽依ちゃんはあの年下くんとどうなったの?」
「聞きたい?」
 にやっと笑っていると言うことは上手くいったということだ。
 瑠花はこのあと芽依の惚気話を昼休みの間、ずっと聞かされることになった。

 会社の帰りに病院へ行くと「捻挫」だと診断された。
 包帯は大変だからと、手首を固定してくれるサポーターを勧められたので購入した。
 少し帰りが遅くなってしまったので、駅からマンションまで周りを警戒しながら早歩きで帰る。
 冷凍食品を温めて食べ、布団に入ろうと思った頃、蓮からメッセージが届いた。

『病院に行った?』
『捻挫だと言われました。サポーターを買ったんですよ』
 手首の写真を送るとすぐに既読が付く。

『寝るときは外した方がいい』
 そうなの? と驚いた瑠花はサポーターの取り扱い説明書を手に取った。
 注意書きに、就寝時は外してくださいと書かれている。
『知らなかったです』
『湿布と一緒に入れておいたネットをつけて寝るのがオススメ』
 あ、そういえば何に使うんだろうと思ったネットがあったけれど。
 瑠花はサポーターを取りネットに付け替える。

『ネットにしました!』
 手首の写真を送ると「Good」のスタンプが返ってきた。
 そのあとも数回やり取りをし、おやすみで締めくくる。
 翌日もその翌日も、たった数行のやり取りだったが、蓮との会話は楽しかった。
 消防署は当然ながら24時間やっているので、メッセージが来る時間はバラバラだけれど。
 なによりも貴重な仮眠時間に送ってくれることが嬉しかった。
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