スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
 翌日、蓮はいつまでたっても既読にならないメッセージに目を伏せた。

「どうした? 蓮」
 元気がないなと声をかけたのは合コンに誘ってくれた湊人だ。

「既読にならない」
「あー、合コンのあの子?」
「昨日出かける約束をしていたのに、熱が出て。行けなかったから怒ってるかもしれない」
「そんなタイプには見えなかったけどな~?」
 湊人は蓮のスマホを覗き込み、やりとりを見る。

「お大事にって言ってるし、怒ってなさそうだけれど?」
 たまたま忙しいんじゃないか? と背中を叩いて励ます湊人に蓮はぎこちない笑顔を見せた。

 5時間経っても既読にならないメッセージ。
 嫌われたのだろうか?
 やっぱり消防士は恋愛に向かないのかもしれない。
 せっかく一緒にいて落ち着ける相手に出会えたのに。
 ようやくあの時の彼女を見つけたのに。

『熱どお~?』
 やっと返信が来たと思ったら、姉からのメッセージだったことに蓮はガッカリした。
『薬のおかげで下がった』
 相変わらず変なスタンプが好きだなと呆れるしかない「良き良き」というスタンプに溜息が出る。

『プリンうまかった。あれ、どこで買える?』
 うまかったから瑠花にも食べさせてあげたいと思った。
 今度一緒に食べようと誘ってみようと。

『えぇ~? 知らない』
『知らないって何だよ』
『なーんか、女の子が置いてったやつ』
「……は?」
 姉からの信じられないメッセージに蓮は固まる。

『上がってく? って聞いたけど、うつるから来なくていいって言われた~って逃げちゃったんだよね』
「……マジかよ」
 蓮は目元を押さえながら壁にもたれかかった。

 ……絶対に誤解したよな。
 見舞いに来たら別の女がいたなんて洒落になんねぇだろ。
 勤務時間は明日の朝まで。
 瑠花に電話をしたいけれど、もう勤務交代の時間だ。

『明日会えないか? 昼休みでも夜でも、瑠花に合わせる』
 もうメッセージは見てもらえないかもしれない。
 それでも今の蓮にはメッセージを送付することしかできなかった。
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