スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
 土日休みの瑠花と24時間交代勤務の蓮は生活時間が違うので、メッセージの簡単なやりとりで終わる日が多かった。

 会社帰りに瑠花が蓮のマンションに押しかけ平日の夜2〜3時間一緒に過ごす『おうちデート』が特別な日。
 それでも十分幸せだったのに。

「いつでも好きな日に来て」
 蓮から手渡された合鍵に瑠花は舞い上がった。

「仕事から帰ったときにこの部屋に瑠花がいたら最高なんだけど」
 耳まで赤くしながら照れ笑いする蓮が可愛いすぎる!

「疲れて帰ってきたのに邪魔じゃない?」
「……おかえりって言ってもらえたら疲れが飛ぶ」
 ナニソレ! 新婚みたい!
 想像するだけでドキドキしてしまう瑠花に、さらに蓮の追い討ち攻撃が加わる。

「……明後日の朝……いたら嬉しい」
 キスしながら囁くのは犯罪です!
 こんな色っぽく頼まれて断る人なんている!?
 ズルい。ズルすぎる。
 ちょっとカッコいいからって武器を最大限に利用するなんて。

「……朝ご飯、作って待ってる」
 まんまと引っかかる私も馬鹿だけれど。
 でも幸せすぎる。
 瑠花は合鍵を握りしめながら甘いキスを受け続けた。


 翌日は仕事帰りにウキウキしながらスーパーへ向かった。
 明日の朝ご飯は何にしよう? と考えるだけで、幸せな気持ちが溢れてくる。
 ご飯派だから、味噌汁にするか豚汁にするか。
 煮物は里芋? それともカボチャ?
 筑前煮とか肉じゃがの方がいいのかな。

「生姜焼き……好きかな」
 野菜も肉も欲張ってあれこれ買い込みすぎたかもしれない。

「……着信?」
 スマホを取り出すと知らない番号だった。
 瑠花は着信を無視し、お会計を済ませて自分のマンションへ。
 里芋の下茹でをし、ごぼうのあく抜きをする。
 明日の準備をひと通り終えた瑠花は蓮に『おやすみ』とメッセージを送り、いつもより早く眠りについた。
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